製品特長
Features of Forcyl
高用量ワンショット製剤
製品1mL中にマルボフロキサシンを160 mg含有する高用量の静脈内注射剤です。ワンショット製剤のため、投与の省力化と動物への負担を軽減できます。
■ フルオロキノロンは「濃度依存性」の抗菌薬です。
フルオロキノロン系抗菌薬は濃度依存性に効果を発揮し、PK-PD パラメーターはAUC/MICとCmax/MICとされています。また、ヒト臨床試験において効果的な抗菌作用の発現に必要なAUC/MICが少なくとも125以上であり、250を超えると細菌の種類にかかわらず、高い抗菌作用が認められたという報告やAUC/MICが125またはCmax/MICが8~10であれば、適切な殺菌効果が得られる可能性があるとし、耐性の可能性を低く抑え、グラム陰性菌に対する臨床転帰を改善できるという報告もあります。
フォーシル製造販売承認申請資料
抗菌活性 | PAE* | PK-PD パラメーター |
抗菌薬 |
---|---|---|---|
時 間 依存性 |
小 | %TAM | ペニシリン系 セファロスポリン系 |
大 | AUC/MIC | マクロライド系 テトラサイクリン系 |
|
濃 度 依存性 |
小 | AUC/MIC | ポリミキシン系 |
大 | AUC/MIC及び またはCmax/MIC |
アミノグリコシド系 フルオロキノロン系 |
出典:牛呼吸器病(BRDC)における抗菌剤治療ガイドブック改訂第2版より改変
*PAE(postantibiotic effect): 抗菌薬投与後、血中や組織中からその薬剤が消失しても病原菌の増殖がある一定期間抑制される現象
*PAE(postantibiotic effect): 抗菌薬投与後、血中や組織中からその薬剤が消失しても病原菌の増殖がある一定期間抑制される現象
フォーシルを投与した牛の乳汁と乳房炎由来大腸菌の解析をしたところ、AUC(乳汁中)/MIC比が850.5、Cmax(乳汁中)/MIC 比が129.1と高い結果が得られました。フォーシルは牛乳房炎治療において耐性菌を増加させることなく治療効果が期待できる用量設計です。
フォーシル製造販売承認申請資料
高い抗菌活性
フォーシルは、フルオロキノロン系製剤として初のレンサ球菌を有効菌種に持つ製剤です。本剤感受性のレンサ球菌、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエによる牛の甚急性及び急性乳房炎に有効です。
菌種 | 菌株数 | マルボフロキサシン | |
---|---|---|---|
MIC50(μg/mL) | MIC90(μg/mL) | ||
レンサ球菌 | 104 | 1 | 2 |
大腸菌 | 68 | ≦0.063 | ≦0.063 |
クレブシエラ・ニューモニエ | 68 | ≦0.063 | 0.5 |
マルボシル・フォーシル製造販売承認申請資料
低い耐性菌発生リスク
■ MSW理論とは
菌の発育を阻止できる最小の濃度(最小発育阻止濃度:MIC)と変異株の発育を阻止できる濃度(突然変異株阻止濃度:MPC)の間は、変異株選択領域:MSWという耐性菌が最も発生しやすい濃度域と言われています。この濃度域の広い製剤は耐性菌を作りやすく、濃度域の狭い製剤は耐性菌を作りにくい特徴があります。
MIC : Minimum Inhibitory Concentration(最小発育阻止濃度)
MPC : Mutant Prevention Concentration(突然変異株阻止濃度)
MSW: Mutant Selection Window(変異株選択領域)
■ SISAABコンセプト
単回注射短時間作用型抗生物質(Single Injection Short Acting Antibiotic)
単回注射短時間作用型抗生物質(Single Injection Short Acting Antibiotic)
SISAABコンセプトは、抗菌薬を迅速かつ高濃度にMPCを上回る血中濃度まで到達させるために高用量の抗菌薬を投与するという考え方です。フォーシルは、静脈内投与すると短時間でマルボフロキサシンの血中濃度が上昇するとともに速やかな排泄(T1/2:13.6 h)により抗菌薬が細菌に長時間作用しないことから、耐性菌の発生リスクの低減を期待した用量設計となっています。
フォーシル製造販売承認申請資料
■ フォーシルは耐性菌発生のリスクが低い製剤です。
短い使用禁止期間
フォーシルの使用禁止期間は牛で3日間、乳で48時間と短い製剤です(当社製剤比較)。